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【産業保健のいろは - 業界地図編 - 】 第1話 IT・ベンチャー業界

更新日:2022年6月14日




産業保健職は様々な業界で働く社員の心身の健康維持に取り組みます。自分が携わる企業の特徴を把握しておけば効果的な施策を行えるでしょう。就職/転職で産業保健に挑戦する方のため、さんぽむらでは全5回にわたって様々な業界/職種の特徴、陥りがちな健康課題を紹介します。第1話はIT・ベンチャー企業について解説します。



【講師】

株式会社iCARE 

エンプロイーサクセスチーム 釋氏 陽子


サービス業にて勤務したのち、看護師免許取得後、都内の総合病院に入職。消化器内科病棟にて病棟看護師として勤務後、地域医療に興味を持ち皮膚科クリニックに勤務。患者対応を行う中で産業保健に興味を持ち2019年iCAREに入職。




【目次】

1. IT・ベンチャー業界とは?

2. IT・ベンチャー業界特有の働き方や健康課題

2-1. IT・ベンチャー業界における健康管理に対する考え方や歴史

2-2.どのような人が働いているか?働き方など

2-3.ITベンチャー業界特有の健康課題



\ 動画で知りたい人はこちらから /


 


| 1. IT・ベンチャー業界とは?



IT・ベンチャー業界とはIT技術を活用し、大企業とは異なるフットワークの軽さを活かして創造的・革新的な事業展開を行います。主な事業内容はWEBサービスの展開、PC用のソフトウェア/ハードウェア開発などです。IT技術は独創的なアイデアがあれば市場で勝負しやすいので、参入企業も増加傾向です。


「ベンチャー」の語源はアドベンチャー(冒険)ですので、失敗する危険性を負いながらも未開の分野に積極的に参入していきます。


ITベンチャー業界は会社自体が若いこともあり、社員のアイデアやチャレンジを応援する傾向があります。またITベンチャー業界は実力主義の色合いが強いので旧来のように年功序列ではなく、実力の有無によって昇進/昇給の判断をされます。


厚生労働省のHPでもIT・ベンチャー業界について解説しているので、ご興味があるかたはご確認ください。



| 2. IT・ベンチャー業界特有の働き方や健康課題



さんぽむら:

ITベンチャー企業特有の働き方や健康課題をiCARE 産業看護職の釋氏 陽子(きくち ようこ)さんに解説してもらいます。


釋氏:

こんにちは。釋氏と申します。


さんぽむら:

今回はITベンチャー企業の中でも特に立ち上がって間もない企業に注目します。「業界特有の健康問題」「どのような人々が働いているのか?」を聞いていきます。



2-1. IT・ベンチャー業界における健康管理に対する考え方や歴史



さんぽむら:

まずは大まかにITベンチャー企業の健康状況はいかがでしょうか?


釋氏:

株式会社電通が実施した「ウェルネスアンケート」で、「今後1年、生活の健康度を高めていきたい」という回答が大体6〜7割。「直近の1年の健康生活度どうでしたか?」という質問に対しては平均50点(100点満点)。健康意識はあるけれども「あんまり健康じゃないかも」「まあまあ」と認識されている方が多いです。


さんぽむら:

健康に働きたいけど、なかなか実現できてない状態なのですね…。ITベンチャー企業に務められている方々の職種を教えてください。


釋氏:

企業規模にもよりますが、創業されてから5年〜10年ぐらいになってくると、エンジニアに加えて、人事・総務、営業、カスタマーサクセスのようなサポート部署などが設置されるなど、様々な背景の方が働かれている印象です。皆に共通していることはパソコンを使ってお仕事される方が多いです。



2-2. どのような人が働いているか?働き方など



釋氏:

ITベンチャー企業の特徴としてリモートワークが広く普及しています。全業種の6割程度がリモートワークに移行できていたり。その中でもさらに約3割が完全に出社しないフルリモートです。他業種と比較して働き方の自由度がかなり高いのも特徴の1つです。


さんぽむら:

産業保健職としても、働き方が見えづらいですよね。


釋氏:

そうですね。このようなリモートワーク環境に産業保健職としてどのように介入していくかは今後の課題です。人事・上司の方からも、従業員の管理が難しいという意見をよく聞きます。



2-3. IT・ベンチャー業界特有の健康課題


さんぽむら:

続いて、ITベンチャー企業の忙しさは?


釋氏:

かなり忙しいです…!昨今は成長著しい業界なので。一方で業界の成長スピードに対して、人材供給が追いついていません。2030年あたりには最大で約80万人、IT人材が不足すると予測されています。現場としては業務の効率化、身体への負担を減らす取り組みを推し進める必要があります。


さんぽむら:

ウェルネスアンケートの「あんまり健康じゃないかも」「まあまあ」という結果はもしかしたら忙しさと結びついているのかもしれませんね。


釋氏:

理想と現実のギャップがあります。


さんぽむら:

産業保健専門職の立場から見ていてよく来る質問、健康課題を教えてください。


釋氏:

全社会社の産業保健の体制構築で私たちがお手伝いすることもあります。会社が法律が新しく変わっていることを把握できてないなかったり。ちゃんと法令遵守をできているか人事の方から確認を依頼されることもあります。まだ産業保健の体制構築のための土台が作りきれていない場合も。


従業員の方からの相談ですとパソコンを仕事で使っている影響から目の疲れだったり、腰の疲れだったり。これらに対して自宅のリモートワーク環境の整え方の相談をいただく場合もあります。後は多忙な業界なので自分自身のストレスサインをしっかりと把握して、予防したいと質問をいただいてアドバイスさせていただいたこともあります。


さんぽむら:

なるほど、ありがとうございます。前者のところでいうと、人事の方も不慣れな人が多いんですかね。


釋氏:

そうですね。バックオフィス経験がある方もいらっしゃれば、初めてであったり。しかも人事が一人しか居ない場合も。


さんぽむら:

後者のところでいうと、臨床からの観点だけじゃなくて「椅子の高さ」などリモート環境も含めた話ですよね。


釋氏:

そうですね。やっぱり臨床が長いと、どうしても目の前にある健康課題1つ1つを解決したいって気持ちが強くなる方もいると思います。ただ働くという観点ではちょっとだけベクトルが違うということを理解する必要があります。「働きながらもできる健康活動」について従業員さんとすりあわせて行く必要があります。やって欲しいことの押し付けにならないように、その方の背景を理解した上で提案がしていけるといいのかなと思います。


さんぽむら:

本日はありがとうございました。次回は、製造業についてご紹介します。




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