【一般社団法人 日本産業保健法学会 理事 小島健一 先生インタビュー】法を駆使して自由を獲得する



一般社団法人 日本産業保健法学会 理事 小島健一 先生に学会を設立した経緯、取り組み、産業保健専門職が法律の知識を身につけるとどのような利点があるのかお話いただきました。法を駆使して組織の中で活用できれば、組織に透明性が増し自由を獲得することができます。聞き手は、株式会社iCARE CEO 山田洋太です。



【話し手】

小島 健一 先生


一般社団法人 日本産業保健法学会 理事

人事労務を基軸に、問題社員処遇から組織・風土改革、産業保健、障害者雇用まで、紛争予防・迅速解決の助言・支援を提供。メンタルヘルス不調やハラスメントが関わる深刻な案件も、早い段階から依頼者に寄り添い、解決まで支援。



【聞き手】

山田 洋太 


株式会社iCARE 代表取締役CEO            

金沢大学医学部卒業後、2008年久米島で離島医療に従事。病気を診るだけでなく、その人の生活を理解しないと健康は創れないことを知り経営を志す。2010年慶應義塾大学MBA入学。2011年心療

内科/総合内科で医師として従事しながら株式会社iCAREを設立。



【目次】

1. より良い未来を創り出すために

2. 専門家同士が交流して学ぶ


 


| より良い未来を創り出すために



山田:

株式会社iCARE 代表の山田と申します。本日は、一般社団法人 日本産業保健法学会 理事 小島健一 先生に色々とお話を聞かせていただきます。


小島先生:

よろしくお願いします。


山田:

まずなぜ、日本産業保健法学会が設立に至ったのかお話ください。


小島先生:

企業/組織の論理、産業医/産業保健職の見解、労働者の気持ちを弁護士も主体的に理解していく必要があると実感したからです。私は20年以上にわたり、労働法関連の業務に携わってきました。「労働判例」という信頼できる判例をまとめた雑誌があるのですが、読み渡すと半分以上が何かしら健康に関わった判例なのです。健康に関する正確な知識と経験を積まなければ現代の労務事件を円滑に解決することはできません。日本産業保健法学会では従業員と企業が法定での紛争になりかけている際、双方の当事者にアドバイスして予防法務に努めます。


日本産業保健法学会は前身であった、産業保健法学研究会での「メンタルヘルス・法務主任者産業保健主任者資格制度」という講座から繋がっています。

この講座では「専門職、専門性関係なく全体を俯瞰して見ることができて、かつ当事者の立場に寄り添える外部者を育成する」ことを心がけました。実際の現場に行けば産業医が機能していない、あるいは社労士にも相談していない。そこで当事者に寄り添いながら客観的なアドバイスをし、関係性をコーディネートし、対話が促進されるようにファシリテートしていく。こういうことができる人間が1人でもいればその現場は救われるのです。


山田:

全体を俯瞰して動ける人間が、訴訟の段階にまで発展しなくても、双方が納得できる落とし所を調整して、最悪の事態を回避することができるのですね。


小島先生:

そうです。予防法務の素晴らしさは、自分の行動 / 選択によって未来を変えられることですから。使用者と労働者の利害は潜在的には対立しているけれども、相互にとって良い解決を導き出してwin-winにもっていくことができると思います。現代は、生身の人間を差し置いて経営することはできません。何よりも人間が一番大事な資本 / 資源です。だから労使双方に目配せができる専門家 / 支援者が必要です。


私は、産業保健職に大きなポテンシャルを感じます。経営者、管理職、人事労務、産業医、そして労働者本人をつなぐ動きができることが最大の強みです。様々な産業領域に入って、積極的にそのような役割を果たされている産業保健職の方が増えていますよね。産業保健職にはマネジメント能力が備わっていると期待しています。彼ら/ 彼女らがハブになって、

チームを機能させ、対話を促進させ、解決に導くことができます。




| 専門家同士が交流して学ぶ


山田:

日本産業保健法学会では、組織のハブになるため、多職種との最適な連携を取る方法を学ぶことができますか?


小島先生:

この学会で得られるもののひとつが連携の力です。よく「連携って大事だよね」って言われますが、実際には、すごく難しいことだと思います。お互いにただ「先生」って呼び合って、相手の領域を侵さないように遠慮するだけで、全く連携がとれていない場合もあります。これでは、1 + 1が2にもならないわけです。


相手の立場や状況を尊重しつつも、その力量を見極め、価値観や考えを理解し、いかに相手の足りないところを補ったり、相手があるべき動きができるように促したりすることができるかが重要です。


山田:

様々な専門家たちが集まっていることも、この学会のひとつの大きな特徴でしょうか?


小島先生:

そのとおりです。会員は、法学者、弁護士、大学の先生方、行政関係の外郭団体、人事労務、産業医/産業保健職、社会保険労務士、産業領域に携わる心理職、キャリア・コンサルタント、衛生管理者など、多岐にわたっています。


現状、多いのは産業医/産業保健職をはじめとした医療・保健に携わる方々です。メンタルヘルス関連の労働紛争が多いので、精神科の先生方も多く会員になっておられます。


今後、加入していただきたいと期待しているのが、ジョブコーチと言われる障害者の就労を支援する方々です。


山田:

学会の皆さんの交流事例を教えてください。


小島先生:設立された一昨年の11月は、コロナ禍の真っ只中でした。なかなかリアルに集まることができないので、オンラインを中心に交流してきました。ようやくそろそろリアル開催の目処がたってきました。今後は、オンラインと併用になると思います。


交流の場として紹介したいのが、事例検討会大会です。去年の第一回の学術大会ではオンライン上で開催しましたが、参加者の皆さんの自発的な努力のおかげさまで有益な議論ができました。多職種で5〜6人のグループに別れて、具体的な事例を分析して解決策を導き出し、発表し合います。今後も引き続き行っていきます。


今後の新企画としては、模擬裁判を開催します。参加者は、原告側と被告側に分かれ、それぞれの立場から弁護士のように主張・反論をぶつけ合うわけです。事例検討会と同様に多職種の小グループごとに分かれて相談し、自分たちの側の主張を練って発表していただきます。ぜひ、皆様にも体験していただきたいです。


山田:

このような大会に参加すると自然と交流が生まれてネットワークが広がっていきますよね。学会の雰囲気はどのような感じでしょうか?


小島先生:

かえって同じ職種で集まるとヒエラルキーや年次とかがあると思うのですけど(笑)。こういう場に他流試合に来ようっていう人たちですから総じて皆さんオープンですよね。教える側でもあるし、教えられる側でもある。


山田:

進化の中で一緒に作り上げていく感覚がこの学会にあるのですね。第二回の学術大会が今度の9月の17〜18日に開催されるということで、テーマは「精神障害の補償・賠償と法」「テレワークの産業保健と法」。どういった展開になりそうですか?


小島先生:

まだ準備の途中なので(笑) 詳細は学会ホームページからご覧ください。


山田:

ご興味のある方はぜひ、お申込みください。最後に日本産業保健法学会で学べる大切なことを教えてください。


小島先生:

法にふり回されるのではなく、法を使いこなせるようになります。

皆さん、法って聞くと、「国が定めたもので、絶対従わなきゃいけない」「変えられないもの」というイメージをお持ちじゃないですか?


実は、法って、国が定めたものだけでなく、個人同士の約束/契約も法なのです。この約束/契約をどのように作って守るか?破ったときにどう対処するか?ここから既に法が始まっています。会社で作られる就業規則や復帰支援プログラムも全て、法と言えば法なのです。


法を駆使して組織の中で活用できれば、組織に透明性が増しますし、手続きが明確になります。やるべきことがはっきりして、不安も和らぎ、自発的・自主的な行動を促すこともできます。法を使いこなせれば、価値観が異なる者同士でも対話することができます。利害が対立していても、働くことでお給料をもらうという共通の目的に対して、お互いがするべきことを決められます。これは、紛争の解決に最も大事なことです。自由を獲得することができます。


山田:

本日は長い時間、ありがとうございました!



 

今後も、Carelyさんぽむら(運営:株式会社iCARE)は、産業看護職の価値は無限大!を掲げて、産業保健専門職がさらに活躍できるようご支援してまいります。



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